八幡山下町中掟書十三カ条
1 この町はフリーマーケット。お店を出す場所代もいらないし、誰が商売してもよろしい。町民は使役を免除します。
2 近江の国を行き来する商人は、上り・下りども八幡で宿泊すること。湖上を通る商船も必ず八幡堀によります。こうすれば、町に人や物が自然と集まり楽しくなるでしょう。
3 日頃、町民は、城主命令の工事も荷物運びもやらなくてよろしいが、いくさや城主が京都に出かけて留守のときはお願いします。
4 火事をおこした者には、その原因をよく聴いて、場合によってはこの町から出ていってもらいます。火をつけられた気の毒な者は、当然ですが罰などあるはずありません。
5 咎人について、犯罪者があればその一族や隣近所の人達まで巻き込んで連帯責任を追求したりしたものでしたが、それはこの町ではやりません。咎人は本当に悪いことをした本人一人で十分です。
6 盗難品をそれとは知らずに買った人はそれは無罪です。どろぼうをつかまえたら持ち主に返します。
7 当町の人より、米や銭を借りて、城主かた徳政令(今までの貸し借りはなかったことにしてもよろしいという命令)が出ても、このまちではちゃらに出来ません。きちんと返しましょう。
8 安土城落城の時のめちゃくちゃになった貸借りはもう時効としましょう。しかし、ちゃんとした証文などが残っている場合は、これに従いましょう。
9 町の中で乱暴なこと(けんかやら押し売りやおどし)は絶対やめて下さい。
10 悪いことをした町民はすぐに取りおさえ、まずは町奉行が取り調べます。事情が明らかでない時はむやみに町民を処罰しないように。
11 町民は使役を免除」というのは、商人だけではありません。職人もそこでやとわれている奉行人もみんな含みます。
12 蒲生・神崎・野洲においての馬の売り買いは必ずこの町(博労町)で行なって下さい。
13 八幡町の近村などで商売をしている者は、この町に引っ越させてお店を持つか、市を開かせる。まわりでしょうろちょろ売らないように。